開国の父 老中・松平忠固

【803】第1話 A3 『出会い』≫

○演習場
演習を見ている阿部と幸貫。
向こうに人と話している佐久間象山(30)らを見つける幸貫。
幸貫「阿部殿、あれにいるのが佐久間でござる」
象山に近づいていく幸貫と阿部。
そこには象山、川路聖謨(40)らが談笑している。
幸貫に気づく象山、川路、礼を取る。
T『佐久間象山』
T『川路聖謨』
象山「これは殿」
幸貫「うむ。忠優殿も一緒でござったか」
一番奥に男がいた。
松平忠優(忠固)(29)である。

忠優「オヤジ殿も壮健で何より」
にやりとする忠優。
T『松平忠優』
幸貫「阿部殿は御存じかな、こちらは上田藩主松平伊賀守忠優殿、佐渡奉行から戻った川路聖謨殿、先ほど話した我が家臣・佐久間象山だ。こちらは福山候阿部伊勢守正弘殿じゃ」
皆、一礼する。
忠優と阿部、何かを感じて見つめ合う。
忠優「・・・」
阿部「・・・」
その時、どーんと大砲が爆発する。
大砲から大きな煙と火が上がっている。
大騒ぎになる一帯。
幸貫「これは・・・」
阿部「事故・・・、のようですな」
離れた場所で呆然と眺めている高島。
その高島を見つける忠優。
忠優「高島殿」
その声に忠優を見る三人。
忠優の呼びかけを全く無視し、事故現場へよろよろと向かっていく高島。
忠優「・・・」
なにかおかしいという表情の忠優。
忠優「馬を持て」
お付の者に連れてこられた馬に飛び乗り、高島の所へ駆けていく忠優。
三人「・・・」
それを見ている3人。
幸貫「さすがに早いな」
阿部「御老中、あの御仁はたしか・・・」
幸貫「忠優殿か?、ご領地の上田は知っての通り旧真田領、きゃつめ、わしをオヤジなどと呼びよる」
嬉しそうに忠優を語る幸貫。
幸貫「譜代筆頭・酒井の出で、今は阿部殿と同じ寺社奉行じゃ」
駆けていく忠優を眺める阿部。
幸貫「あの男はきれるぞ。阿部殿とどちらが上かの」
阿部「松平伊賀守忠優・・・」
阿部の表情を楽しむ幸貫。
象山「それにしても高島殿も噂程ではありませんな」
幸貫「なんと象山。高島はだめか」
象山「だめとは申しませんが」
象山を見る阿部。
象山「拙者が造ればまさか自爆などとはなりますまい」
幸貫「はっはっは、阿部殿、この男はこういう男です」
阿部「・・・。その方は大砲が造れるのか」
象山「仰せとあらば大砲だけでなく軍艦でも」
にやりとする象山。
半信半疑な阿部。
阿部「ぷっ、ははは。それは頼もしい」
立ち昇る煙に人々が消火活動をしている。

 

 

 

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