開国の父 老中・松平忠固

【804】第1話 A4 『阿部正弘邸にて』≫

○浜離宮(朝)
日の出。
美しい日本庭園が朝日を浴びて荘厳な眺め。

 

○運河沿い(朝)
川面に照らされる朝日。
川辺では庶民の早朝の慌ただしい動き。

 

○阿部邸・外観(朝)
赤ちゃんの泣き声。

 

○阿部邸・庭(朝)
赤ちゃんを抱えている阿部。
よしよしとあやしながら庭を散歩している。
後ろに付き添う妻・謹子(20)。

わーと泣き出す赤子。
阿部、手に負えなくなり謹子に渡す。
謹子があやすと泣き止む赤子。
謹子、赤子を見ながら
謹子「何やら市中が騒がしくなっておりまするが、殿、大丈夫でありましょうか」
阿部、赤子を見ながら
阿部「ん、ああ、市中に幕政批判が起きていることか。『夢物語』とかいったかな、幕政批判の写本が大量に出回り、さらに続編や外伝まで現れ、世間を騒がしているようじゃな。ははは」
謹子「異国船を打ち払ったとも聞いております」
阿部「ほう、地獄耳ではないか。その異国船を打ち払ったこともその批判の一端じゃが。しかし・・・」
踵を返し、池を眺める阿部。
阿部「それらで書かれていることもあながち的外れではないのだ。むしろ取り入れるに値する言も少なくない。なんとか幕政も取り入れられるべき意見は取り入れられるようにならなくてはいけないのだが」
表情が曇る阿部。
心配そうに阿部を眺める謹子。
それに気づく阿部。
謹子とそして赤子を覗き込みながら
阿部「案ずるな。そのように近づけるように私は日々仕事をしておるのじゃ。案ずることはない」
微笑む阿部。
ほっとした表情の謹子。
すやすや眠る赤子。

 

 

 

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