開国の父 老中・松平忠固

【810】第1話 C2 『鳥居の暗躍』≫

○江戸南町奉行所・表
荘厳な門構え。

 

○同・御白洲
人々が列をなして座っている。
前の者から順番に控えの間に通されている。
N「蛮社の獄で渡辺崋山・高野長英らを処分し、高島秋帆を無実の罪に着せた鳥居耀蔵は、目付の諜報組織を手にしたまま江戸南町奉行となり、天保14年(西暦1843年)8月14日には勘定奉行をも兼帯するというとてつもない権力を奮っていた。現代でいうと、警察庁長官と最高裁長官と財務大臣を兼務するようなものである」
茶坊主に賄賂を渡す商人。
後ろに座っていた商人が順番が前の控えの間に通される。

 

○江戸城・御用部屋
水越が役人に指示を出しているが、イライラしてしている。
N「その鳥居を取り立てた老中首座・水野忠邦は天保の改革を断行していたが、これがうまくいかず、有力大名や御三家までも反対するありさまで、水野は窮地に立たされていた」

 

○同・応接間
老中の土井と対している鳥居。
『老中・土井利位』
土井「きさま、仮にも取り立ててもらった水越候を裏切るというのか」
鳥居「裏切るなどと滅相もございません。私はあくまでご政道を正そうと、正すには土井様に資料を提出するのが得策だと思っただけでございまして」
土井「うむ」
鳥居から出された資料を見る土井。
土井「しかし、この資料、水越を失脚させるには十分な証拠よの。ふふふ」
書類を投げ捨て、
土井「だが鳥居よ、貴様も同罪ではないのか」
鳥居「いえいえ、私はあくまで水越候のご指示に従ったまでのこと。忠実に職務をこなしただけで、それは称賛に値することと存じますが」
土井「ふむ」
平伏しながら、にやりとする鳥居。

 

 

 

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