開国の父 老中・松平忠固
【820】第2話 A4 『初日の夜』≫
○浦賀(夜)
満天の星空。
三浦半島、向かいの房総半島の山の稜線に松明の火が灯っている。
ライトアップのように美しい。
月明かりに照らされるペリー艦隊。
一つの大砲から煙が出ている。
たった今、大砲を撃ち放ったのだ。
カンカンと陸地のあちこちで鐘の音が響き渡っている。
稜線の松明の火が所々消されていく。
不穏な雰囲気が充満している。
○サスケハナ・艦橋(夜)
コンティ大尉とペリーが陸の様子を見ている。
コンティ「よ、よかったのでしょうか」
ペリー「なにがだ」
コンティ「9時の時報を発砲してしまって」
ペリー「なぜだ」
コンティ「え、で、ですから、この発砲は時報であるのに相手が勘違いして宣戦布告だと判断してしまうのではと」
ふっと笑うペリー。
ペリー「ちょうどいい威嚇になる」
コンティ「ですが」
ペリー「あくまでこちらは実弾を放ったわけではない。相手が仕掛けてくるなら、戦端を開いたのは相手側だ。こちらには非はない。だが・・・」
ペリーを見るコンティ。
ペリー「おそらくその心配は杞憂となろう。この国の統治者は慎重だ。しかも兵士一兵に至るまで統治者の指示が行き届いている。私がもし戦慄を覚えるとするならば、今無謀な戦端が開かれることではなく、我々を包囲しているこの大兵力を完全に統率している組織力の方だ」
コンティ「はい」
○江戸城・御用部屋(夜)
戻ってくる水野。
忠優、川路、井戸が待っていた。
水野「どうやら一発だけのようです。それも空砲と思われ」
井戸「威嚇か、くっ、なめよって」
川路「かなり強硬ですな。今回はやはり・・・」
険しい表情の忠優。
忠優「・・・」
満天の星空。
次第に空が明るくなっていく。
人気の記事
- 【100】日米修好通商条約は不平等条約ではなかった カテゴリ: 日米修好通商条約
- 【164】最も印象的なペリーの日本評 カテゴリ: ペリー/アメリカ
- 【101】江戸幕府が既に『大日本帝国』を名乗っていた カテゴリ: 江戸幕府
- 【123】日本初の外資系企業は カテゴリ: イギリス/外資企業
- 【125】南京条約、香港がイギリスへ カテゴリ: イギリス/外資企業
- 【112】江戸幕府の出世コース カテゴリ: 江戸幕府
- 【124】アヘン戦争から日本の近代史が始まった カテゴリ: イギリス/外資企業
- 【163】ペリーの知られたくない事実を知っていた日本 カテゴリ: ペリー/アメリカ, 江戸幕府
- 【130】恐るべき佐久間象山の『海防八策』 カテゴリ: 佐久間象山/吉田松陰
- 【800】『日本を開国させた男/日米和親・修好通商条約締結物語』目次 カテゴリ: 映画ドラマ脚本
カテゴリー
最近のコメント
- 【150】忠固の左腕・井戸覚弘 に ATSUHIKO MOTONO より
- 【150】忠固の左腕・井戸覚弘 に 吉見 幸春 より
- 【008】御子孫からのメッセージ に 青木 より
- 【008】御子孫からのメッセージ に 青木 より
- 【008】御子孫からのメッセージ に ATSUHIKO MOTONO より
コメントを残す