開国の父 老中・松平忠固

【828】第2話 C4 『国書授与式』≫

○サスケハナ・甲板
香山ら3人とブキャナンらが会談をしている。
握手している香山とブキャナン。
N「こうして返答期限の三日目に、国書受理の決定をアメリカ側に伝えた幕府は、二日後に久里浜沖にて国書受領の式典を開くことで合意。ペリー提督以下のアメリカ人の日本上陸が決定した」

 

○久里浜沖(朝)
燦々と照りそそぐ朝日。
キラキラと反射する水面。
その中を勇壮に進む黒船艦隊。
『嘉永6年(西暦1853年)6月9日』
N「嘉永6年(西暦1853年)6月9日、アメリカ合衆国大統領からの国書を進呈するためにペリー提督は久里浜に上陸した。ペリー艦隊が来日してわずか6日目のことであり、これはペリーの想定よりはるかに早い決着であった」
岬の陰から現れる鮮やかな色彩。
急ごしらえて作られた会見場だが、色鮮やかな陣幕やのぼり、精巧な紋様や絵柄などに、米兵たちは感嘆の声をあげる。

 

○久里浜海岸(朝)
次々と陸づけされる上陸艇。
上陸していく米国兵。
みな正装をしており、30人ずつ見事に整列しながら行進していく。
米兵総勢3百人。
その周りに警護している幕府側は5千人、見渡す限り埋め尽くされていた。
降り立つペリーと補佐官、通訳官。

 

○同・会見場
広く荘厳な会見場。
左手に幕府、右手に米国が陣とって上官が椅子に座り、下士官以下は下座で整列している。日本側も上役は椅子に座り、下役以下は正座している。
緊張の面持ちの井戸・戸田。
ペリーの表情も硬い。
長い沈黙。
その沈黙を破る進行役の香山。
香山「米国使者がはるばる我が国に来訪した目的はいかなることであるか、お答え頂きたい」
通訳の達之助が蘭語で復唱する。
英語で答える通訳官ポートマン。
通訳官「我が国アメリカ合衆国大統領よりの国書を授かってきた。ここにお持ちしたので受領されたし」
副官が指示する。
二人の子供が現れ、箱を持ってくる。
それを二人の大きな黒人兵士に渡し、黒人兵士がゆっくりと運び、ペリーに手渡す。
ペリーは箱を受け取り、箱から国書を出し、前へ進み出て国書を差し出す。
井戸も前に進み出て国書を受け取る。
受け取った国書を補佐役に渡し、補佐役は箱に入れる。
香山「メリケン国プレジデントの国書、確かに受領いたした。本日の会見式はこれにて終了とする」
各通訳が各陣営に話す。
両陣営立ち上がる。
日本側が一礼する。
アメリカ側はその一礼に躊躇するが、ペリーが堂々と退室していくとそれに従い、皆も退室していく。
N「こうして日本の政策を大きく変更させた国書の受領式は無事に終了した。その時間はわずかに20分程度であった」

 

 

 

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