【884】第6話 A4 『イギリス艦隊、来襲』≫
○クリミア半島
クリミア半島の地図。
陸上戦・海上戦が繰り広げられている。
イギリス・フランス、ロシア国旗。
N「西暦1854年(嘉永7年)3月23日、イギリスはクリミア半島をめぐる争いでフランスと共にロシアに対し宣戦を布告、クリミア戦争は大規模化し、その戦闘地域は極東・カムチャッカまで及んだ」
○長崎・出島
『長崎・出島』
オランダ国旗を掲げた船が並んでいる。
それらが後ろから来た船たちに場所を譲るように退いていく。
後ろから現れたのは4隻の艦隊。
イギリス国旗を掲げている。
○奉行所・外観
声「なんだと」
○同・中
執務をしていた水野と永井、同時に立ち上がる。
水野「エゲレスの国旗を・・・」
永井「・・・」
永井と顔を見合わせる水野。
長崎湾に浮かぶ英国艦隊。
展望場から艦隊が来ているのを見つける二人。
水野「エゲレスがついに来た。しかもこの長崎に」
永井「メリケンの条約締結を聞きつけてきたのでしょうか。それならば下田や浦賀でなく、なぜ長崎に」
水野「・・・、永井、実は俺が長崎に赴任をした最初の目的というのはペルリと交渉をするためだったのだ」
永井「え?」
水野「だが、ペルリが江戸湾に直接向かったため、俺の役目は空振りとなった」
永井「そ、そうだったんですか」
水野「しかし、鯛を逃がしたと思ったら、代わりにとんだ獲物がかかってしまったな」
永井「・・・」
水野「鮪・・・、いや、かかったのは鮫だな。手当たり次第に食い尽くす凶暴で獰猛な最も恐ろしい魚・・・」
永井「・・・、おい、すぐに江戸に第一報を送れ」
部下「はい」
後ろでばたばたと慌ただしく動き出す。
英国艦隊を見る水野と永井。
その険しい顔。
○イギリス艦隊・外観
○イギリス艦隊旗艦・艦橋
スターリングと副官、後ろに通訳の中国人がいる。
副官「プチャーチンのロシア艦隊は一見すると見当たりません。奴らの事です、国旗は下げているものと思われます。スターリング提督」
スターリング「サーをつけろ、サーを。サー・スターリング提督だ。平民と一緒にするな」
副官「し、失礼しました」
スターリング「よし、臨検を始めろ。ロシア船と確認できれば攻撃を許可する。この国の人間が隠し立てをするならこの港もろとも灰にしてくれる」
副官「よろしいのですか。日本はアメリカと条約を結びましたが」
スターリング、面倒くさそうに
スターリング「理由などなんとでもなるわ」
手で追い払うしぐさ。
副官「了解」
二人の後ろに立つ中国服を着た男。
音吉(35)である。
にやっと笑う。
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