開国の父 老中・松平忠固
【934】第9話 B2 『上府決定』≫
○玉泉寺・内
井上と岩瀬、通訳がハリス、ヒュースケン、ロシアのポシェット提督が会談している。
机に並べられた写真。
ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、香港などの写真。
岩瀬、目を輝かせて見ている。
岩瀬「これが西洋の街・・・」
井上「・・・」
さすがに驚きの色を隠せない井上。
ハリス、大きな態度でパイプをふかしながら、自慢げ。
ポシェットが写真を出す。
ポシェット「こちらがわが帝都サンクトペテルブルグです。オーケストラに興味がおありとか。わがサンクトペテルブルグオーケストラのチャイコフスキーの演奏を聞かせたいですな」
岩瀬、目を輝かせて
岩瀬「いいですな。ニューヨーク、ロンドン、サンクトペテルブルグ・・・。行きます。なんとしても行ってみせます」
ポシェット「ははは、それはどうですかな。ハリス殿の江戸上府さえ叶わぬのに」
岩瀬「・・・」
ハリス「・・・」
顔を見合わせる岩瀬、井上、ハリス、ヒュースケン。
時間経過。
ポシェットが帰り、残された四人。
岩瀬「ポシェット殿にはお話にならなかったんですね、江戸上府が決まり、もう来週には出発するということを」
ハリス「・・・。ロシアも付いてくるというのも困りますからな。それより貴殿らの方がロシアに隠して平気なのか。後でトラブルになるぞ」
井上「それはそれ。ハリス殿ヒュースケン殿は上様に謁見するのです。しっかり段取りを踏んでもらわねば困りますぞ」
ヒュースケン「ふふふ、日本人は本当に形式を重んじますな」
ハリス、ヒュースケン小声で
ハリス「言うことを聞いてやれ。皇帝に会えればこっちのもの。それまでの辛抱だ」
ヒュースケン「はい」
写真から目を離せない岩瀬。
井上、岩瀬を見て自分も写真を見る。
人気の記事
- 【100】日米修好通商条約は不平等条約ではなかった カテゴリ: 日米修好通商条約
- 【164】最も印象的なペリーの日本評 カテゴリ: ペリー/アメリカ
- 【101】江戸幕府が既に『大日本帝国』を名乗っていた カテゴリ: 江戸幕府
- 【123】日本初の外資系企業は カテゴリ: イギリス/外資企業
- 【125】南京条約、香港がイギリスへ カテゴリ: イギリス/外資企業
- 【112】江戸幕府の出世コース カテゴリ: 江戸幕府
- 【124】アヘン戦争から日本の近代史が始まった カテゴリ: イギリス/外資企業
- 【163】ペリーの知られたくない事実を知っていた日本 カテゴリ: ペリー/アメリカ, 江戸幕府
- 【130】恐るべき佐久間象山の『海防八策』 カテゴリ: 佐久間象山/吉田松陰
- 【800】『日本を開国させた男/日米和親・修好通商条約締結物語』目次 カテゴリ: 映画ドラマ脚本
カテゴリー
最近のコメント
- 【150】忠固の左腕・井戸覚弘 に ATSUHIKO MOTONO より
- 【150】忠固の左腕・井戸覚弘 に 吉見 幸春 より
- 【008】御子孫からのメッセージ に 青木 より
- 【008】御子孫からのメッセージ に 青木 より
- 【008】御子孫からのメッセージ に ATSUHIKO MOTONO より
コメントを残す