開国の父 老中・松平忠固

【948】第10話 A4 『篤姫』≫

○江戸城・外観
江戸城の奥深くまで進み大奥が現れる。

 

○同・大奥・風呂場
湯船につかっている女性。
その傍らに膝まづいている幾島(43)。
幾島「篤姫様」
湯船から出て椅子に座る篤姫。
幾島「御父上様から密書が届いております」
篤姫「薩摩の御父上から…。でなんと?」
幾島「ご御継嗣の件、急ぐようにと…」
篤姫「や、やはり来たか…。やらねばならぬな、なんとしても」
篤姫、決意の表情。

 

○同・同・応接間
煙管をふかしている年寄・瀧山(39)。
面会している直弼。
瀧山「は?ご存じなかったと?」
直弼「篤姫様が一橋擁立の動きを・・・」
滝山「あきれますな。では一橋派の京工作は」
直弼「む・・・、どんな工作です?」
滝山「堀田首座が通商条約締結の勅許をもらう際に、合わせて御継嗣の勅命を出させようと」
直弼、思わず腰を上げる。
直弼「なんだと!み、帝が一橋を御継嗣に推す勅命とな。なんたる事を。確かに、鷹司家に近い水戸と近衛家に近い薩摩がしきりに動き回っておるようだが」
瀧山「大奥の地獄耳、この瀧山に知らぬことはございません。如何されるおつもりか」
直弼「許さん。そもそも帝に政の報告すること自体、水戸が勝手に始めたこと。ぐぬぬ」
妖艶に直弼に話す滝山。
滝山「ですが掃部守様、これは逆に好都合ではございませぬか」
直弼「?」
滝山「このようにすればよいのです」
滝山が直弼の耳元でささやく。
滝山「ふふふ。京都守護役の井伊家ならそんなこと造作もないこと」
直弼「な、なるほど。さすが滝山殿。そうとなったら一刻も早く長野に指示を。御免」
そそくさと出ていく直弼。
不敵な笑みを見せる滝山。

 

 

 

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