開国の父 老中・松平忠固

【976】第11話 D4 『崩御』≫

○江戸城・外観
『7月5日』

 

○江戸城・家定寝室・内
中央の布団に家定が横になっている。
布団の周りには6人の奥医師たち。
後ろに側役である石河と側役Aがいる。
医師が家定の脈を取っている。
脈を取っている医師が首を横に降る。
家定の顔に白い布がかけられる。
石河「・・・」
呆然とする石河。
冷たく石河を見る側役A。

 

○忠固邸・門

 

○同・応接間
阿部の脇差が床の間に置かれている。
忠固が石河、本郷と面会している。
脇に水野。
石河「う、上様が先ほど・・・、お亡くなりに・・・」
忠固「な・・・」

言葉を失う忠固。
石河「も、申し訳ござりませぬ・・・」
本郷「・・・、それと、本日御老公・尾張慶勝様、越前慶永様の隠居・謹慎が発表されました。台慮とのことです」
忠固、ぎゅっと拳を握りしめる。
忠固「くっ」
立ち上がって、今にも飛び出そうとする忠固。
本郷「いけません。今は謹慎中の身。今出て行ったら尾張様・越前様以上の重い罪が問われましょう。それこそ思う壺です」
飛びついて忠固を制する石河。
石河「我らに、我らにお任せ下さいぃ。いま調査を進めてます。それが分かるまでどうかご辛抱を」
忠固「・・・」

 

○同・大広間
大勢の諸侯が集まっている。
本郷や石河も列席している。
使い「本日7月6日、第13代将軍家定様が御崩御され、新たに御継嗣であらせられる慶福様改め家茂様が第14代将軍にご就任と相成った」
一同の驚きの声。
大騒ぎになる。
使い「また、本日付で若年寄本郷泰固を罷免・差控・改易5000石没収、御用取次石河政平を罷免・差控とする」
がやつく一同。
『おい、聞いたか。あの噂。本郷と石河は奥医師の○と謀って公方様謀殺の嫌疑あり、だと』
『毒を盛ったのか、上様に』
『なに、毒?』
『上様崩御と同時の辞令発表とは空前絶後、異例中の異例』『やはり本郷と石河が毒を?』
皆の白い目が本郷と石河に降り注ぐ。
呆然となる本郷。
本郷「・・・」
わなわなとふるえる石河。
石河「う、うおおおおおおお」
石河、慟哭の叫び。

 

 

 

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