開国の父 老中・松平忠固
【987】第12話 C3 『フリーメーソン』≫
○イギリス軍艦・外観(夜)
影の声「金本位制だと!?」
○同・暗い部屋(夜)
暗い一室。
誰だかわからない男が座っている。
その男に報告している形のケズウィック。
ケズウィック「はい。確かに日本の役人がそう言いました」
影の男「・・・」
ケズウィック「いかがいたしましょう」
影の男「うむ。その男、油断がならぬ。いや、この国の政府が油断ならぬのか・・・」
ケズウィック「その役人の上の大臣は全く分かってないようでした」
影の男「ふむ。とにかくその二朱銀とかいう通貨は即座に廃止するよう徹底的に要求するのだ。そして、そのミズノとかいう男は罷免するよう大臣に強硬に圧力をかけよ。オールコックにもそう伝える」
ケズウィック「了解しました」
影の男「どうだ、おまえの見立ては」
ケズウィック「はい。ペリー提督当時のような強固な政権のイメージはありません。いけるかと」
影の男「そうか。政治に洋の東西もない。政治権力を持っているのは西洋は王族、ここは大君。世襲による封建社会だ。革命を起こす」
ケズウィック「革命・・・、フランスと同じように・・・」
影の男「大衆は熱狂し政権は打倒されるだろう。政権が倒れたらセントラルバンクを作り金融を支配する」
ケズウィック「となると・・・、まずは扇動者ですな」
影の男「そうだ、エージェントを育てる必要がある。反体制側の人間でエージェントになりうる人材をピックアップせよ。全てはそこから始まる」
ケズウィック「はっ」
薄暗い室内のわずかな明かり。
その明りで壁に掛けられている紋章がかすかにわかる。
そのマークは直角定規とコンパス。
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