開国の父 老中・松平忠固

7月2020

【811】第1話 C3 『意気投合』≫

○江戸城・謁見の間
将軍から老中就任の辞令を受けている阿部。
N「天保14年(西暦1843年)閏9月11日。阿部正弘は25歳の若さで老中に就任した。その2日後には天保の改革失敗により老中首座水野忠邦が罷免された」

 

○沿岸
港に来航する軍艦。
N「阿部が老中に就任するや続発していた難題がさらに降りかかる。天保14年10月10日イギリス軍艦サマランが八重山で測量を強行、天保15年3月11日フランス軍艦アルクメーヌが那覇に入港・通商を要求、同年7月2日オランダ軍艦バレンバン長崎入港・通商要求と異国船の襲来が頻発し、国内では江戸城が炎上するなど混乱を極めていたのだ」

 

○参道
静けさに包まれた参道。
8月の強い日差し。
蝉がものすごい勢いで鳴いている。
その中を3人の男が上っていく。

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【810】第1話 C2 『鳥居の暗躍』≫

○江戸南町奉行所・表
荘厳な門構え。

 

○同・御白洲
人々が列をなして座っている。
前の者から順番に控えの間に通されている。
N「蛮社の獄で渡辺崋山・高野長英らを処分し、高島秋帆を無実の罪に着せた鳥居耀蔵は、目付の諜報組織を手にしたまま江戸南町奉行となり、天保14年(西暦1843年)8月14日には勘定奉行をも兼帯するというとてつもない権力を奮っていた。現代でいうと、警察庁長官と最高裁長官と財務大臣を兼務するようなものである」
茶坊主に賄賂を渡す商人。
後ろに座っていた商人が順番が前の控えの間に通される。

 

○江戸城・御用部屋
水越が役人に指示を出しているが、イライラしてしている。
N「その鳥居を取り立てた老中首座・水野忠邦は天保の改革を断行していたが、これがうまくいかず、有力大名や御三家までも反対するありさまで、水野は窮地に立たされていた」

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【809】第1話 C1 『奏者番』≫

○江戸城・西ノ丸
赤ちゃんが抱かれている。
N「阿部正弘は文政2年(西暦1819年)10月16日、備後福山藩主・阿部正精の五男として江戸西の丸屋敷で生まれた」
少年時代の阿部。
夜、灯りの中で本を読んでいる。
家督を相続している阿部。
奏者番、寺社奉行の任命を受けている阿部。
N「天保7年(西暦1836年)12月25日、17歳で家督を相続し、3日後の12月28日従五位下伊勢守に叙任、以後天保9年(1838年)19歳で奏者番に、天保11年(1840年)21歳で寺社奉行にと、異例の速さで出世し今に至っている」

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【808】第1話 B4 『忠優、寺社奉行更迭』≫

○江戸城・外観

 

○同・評定の間
老中3名が最上座に並んで座している。
中央に座る老中首座・水野忠邦。
『老中首座・水野越前守忠邦』
右に真田幸貫。
そこから横向きに並ぶ若年寄陣、そして三奉行陣、目付陣ら。
阿部、鳥居も同席している。
阿部「いったい高島殿は何の罪を犯したというのです?」
目付「謀反の罪です」
阿部「謀反!?」

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【807】第1話 B3 『蛮社の獄』≫

○御白洲
公事場に大草が座っている。
縁側上段に崋山。
一冊の本が提示される。
表紙には『慎機論』との文字。
大草「これはそちが書いたものに相違ないな」
崋山「相違ございません」
大草「ここにこう記してある。『これほど日本が外圧による国難に直面しているにもかかわらず、幕府上層部にはきちんと対応する人物がいない。国際情勢を知ろうとする気概もなければ、江戸城内において賄賂を横行させる権臣ばかりである。また本来こういう際に精神的な助言をすべき儒臣がまた、志が低く堕落しきっている』」
みるみる顔が青ざめる崋山。

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【806】第1話 B2 『鳥居耀蔵』≫

○市中・崋山宅
崋山宅を家宅捜索している役人。
『渡辺崋山宅』
たくさんの書物などを押収している。
N「天保10年(西暦1839年)5月14日、渡辺崋山・高野長英ら蘭学を研究する者たちが逮捕された。天保年間は江戸で蘭学が隆盛し、新知識の研究と交換をする機運が高まり、医療をもっぱらとする蘭方医とは別個に一つの潮流をなしていた。崋山自体は蘭学者ではないが、高野長英や小関三英が崋山への蘭学の知識提供者であった。この潮流は旧来の儒者・国学者たちからは蔑みをこめて「蛮社」(南蛮の学を学ぶ集団)と呼ばれ、この言論弾圧は後に『蛮社の獄』とよばれることとなる」

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【805】第1話 B1 『渡辺崋山』≫

○江戸城の堀(朝)
荘厳にたたずむ江戸城。
見える門は桜田門である。
『桜田門』
桜田門から三宅坂へ目線が進む。
『三宅坂』
そして半蔵門に至る。
『半蔵門』
堀の向かい側、現在の国立劇場敷地に建つ屋敷。

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