開国の父 老中・松平忠固

【826】第2話 C2 『交戦論』≫

○同・廊下
引き上げている老中陣。
乗全「さすが伊賀殿。逆に御老公の意見に賛成することによって、見事に流れが変わりましたな」
牧野「うむ、あの切り替えしはわしも見事だと思うたわ。これですでに我らの中で決定している国書受理についても御老公に了解を得たも同然、他の諸侯についても言い訳がたつ」
阿部も満足そうな表情。
忠優のみ思い詰めた表情。
忠優「阿部殿、どうだろう。こちらから仕掛けてみては」
一同「!!」
驚く一同。
忠優「先ほどの発言は詭弁ではない。本心を言ったまでのこと」
牧野「な、何を申される。きゃつらの文明に最も精通しているのは貴殿ではないか。きゃつらの兵器の優秀を説いてくれたのも貴殿。貴殿の情報をもとに戦をするのは無謀、との結論に至ったのでござるぞ」
乗全「いったいどういうことで」
阿部「・・・」
立ち止まった忠優、再び歩き出す。
忠優「現在意見ある者の9割9分9厘が夷狄を打ち払うべしと考え、西洋の本当を知る者はほとんどいない」
聞いている3人。
忠優「もし戦端を開けば、戦力の差が一目瞭然となり、その割合は一気に逆となろう。荒療治だがそれが最も早く意識の転換につながるのではないか。それが結果的に最もこの国の発展に有益ではないか、そう思うのだ」
驚く一同。
忠優「それに、御老公の言われた武士のあり方。それを失わせない最良の策であるように先ほど思ったのだ」
一同「・・・」

 

 

 

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