【955】第10話 C3 『廷臣八十八卿列参事件』≫
○京都御所・庭(朝)
門から公家たちが続々と押し寄せている。
周りの官吏たちも驚きの表情でそれを眺めている。
公家たちの総数は88名。
先頭には岩倉が立っている。
その騒ぎに、思わず表に出てくる一条関白。
一条「な、なにごとじゃ」
88人が座り込み
岩倉「一条関白様に申し上げます。帝のみ心はこの神州を夷狄よりお守りすること。古から続くそのお役目を果たすことにございまする。ぜひとも帝のお気持ちを汲み取り、異国との条約の勅許は出さないよう、お願い申し上げます」
一条「な、なんたること。貴殿らここをどこと心得る、御所ぞ。こんなことは前代未聞ぞ。いったいどうなっておるのか」
公家A「神州の一大事に黙ってはおられません」
公家B「断固反対。攘夷せよ」
公家C「関白は金で魂をお売りなされたのか」
がやがや大混乱となる。
九条、ひーと言いながら逃げる。
岩倉、ニヤリとする。
○堀田ら宿舎
堀田が知らせを聞く。
堀田「なに?」
岩瀬「騒乱が?」
○御所
堀田、川路、岩瀬が御所の奥へに入ろうとする。
堀田や川路は通されたが、岩瀬は通せんぼされる。
岩瀬「なんだ」
官吏「これより先は通れませぬ」
岩瀬「どういうことだ」
官吏「これより先は御身分の尊き方のみが入れる場所にて」
岩瀬「なんだと」
官吏「従五位という身分ではお入りになれません」
岩瀬、キレる。
岩瀬「ふざけるな、この大事な時に」
暴れる岩瀬を取り押さえようと何人もの官吏が集まって押し問答となる。
川路「と、とりあえず堀田様は行かれて下さい。ここは私が」
堀田「おお、た、頼む」
そそくさと出ていく堀田。
川路も入って押し問答となる。
○同・奥の間
その様子を見ている鷹司。
先導した岩倉が戻ってくる。
鷹司「ご苦労、ご苦労。これで関白の面目は丸つぶれ。愉快愉快。だがちとやりすぎではないかのう。このような騒乱は前代未聞のこと。普通だったら全員捕縛されるところ・・・」
岩倉「そのための京警護役の彦根藩、長野さんです。この一件については断罪されることのないよう根回しはついております」
鷹司「信用できるかの。どうも信用ならぬ男だが」
岩倉「どうやら井伊掃部守も勅許反対だったようです。我々は一枚乗せられたという節もないことはないですな」
鷹司「むおう、それならば慶喜継嗣の件は譲らなくてもよいな。わしとしては義理の弟の子が将軍となった方が何かとよいでの」
岩倉「はい。その通りにございます」
フフフと笑う鷹司と岩倉。
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