開国の父 老中・松平忠固
【126】日本初のシンクタンクが潰された『蛮社の獄』≫
渡辺崋山の所属した『尚歯会』
尚歯会は、時の蘭学の主流であった医学・語学・数学・天文学にとどまらず、政治・経済・国防など多岐にわたる研究をしたグループで、日本初のシンクタンクと言える集団でした。(表向きは『老人の歯』の会)
- 渡辺崋山・・・田原藩家老、忠固と懇意
- 高野長英・・・シーボルトの弟子、蘭医
『NIPPON/シーボルト著』
- 小関三英・・・蘭医、ナポレオンを日本に紹介
- 江川英龍・・・伊豆韮山代官、下田が開港地になったのも江川に直轄させるため
- 川路聖謨・・・幕臣、勘定奉行など歴任、忠固がハリスと交渉させた井上清直の兄
- 藤田東湖・・・水戸藩家老、水戸学の巨頭で徳川斉昭の右腕、幕末尊王思想はこの人から始まった
まさに当時、他の日本人が知り得ない特別な情報を持ったメンバーたちだったのが分かります。
蛮社の獄、そして崋山の死
この尚歯会を目付・鳥居耀蔵が弾圧した事件が『蛮社の獄』。
蛮社とは、西洋科学を卑下する野『蛮』な会を意味し、まさに尚歯会のことです。
幕政批判の濡れ衣を着せられ、崋山も捉えられますが蟄居(自宅軟禁)という比較的軽い罰で済んだのは、時の寺社奉行であった忠固が働きかけたからだと思われます。
しかし、崋山は自刃してしまいます。
自分の不祥事によって殿様である田原藩主・三宅康直(忠固の弟)の出世が絶たれた責任を感じてでしょう。
忠固も康直も無念だったと共に、鳥居耀蔵との対立も激化していきます。
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